お姉さんと2012年08月03日

偶然なんですけど、
お姉さんが出てくる物語を続けて読みました。

母親、のような。
あるいは、
母親代わり。
な、お姉さん。たち。


 『夜明けの落語』 みうらかれん 講談社 2012/5
 『空へのぼる』 八束澄子 講談社 2012/7
 『小野寺の弟・小野寺の姉』 西田征史 泰文堂 2012/3 (写真)


『夜明けの落語』では、
忙しい両親に代わって、年の離れたお姉さんが、
小学4年生の主人公の少女に寄り添って、
なんとも素敵な対応をしてくれています。

この本は、児童文学としての評価が高く、
それはその通りな作品と思うのですが、
それにしてもなぜ、お姉さん? という思いが残りました。


その思いが残っているまま読んだのが、『空へのぼる』。

こちらは、小学5年生の少女と、
15歳上のお姉さんの物語です。

姉妹は11年前、
少女はまだ生後7か月で、
お姉さんが中学生のとき、
両親に捨てられました。

突然いなくなった両親に代わって、
15歳も年上のお姉さんが、
母親代わりになって少女を守ろうとするのは当然のこと…。

と思いつつ、
両親不在の物語(児童書)が続いたことに何かひっかかるものがありました。

そういえば、
ちょっと前に読んだ『雪と珊瑚と』(梨木香歩 角川書店)の主人公の親も不在でした…。

そうだ、その前に読んだ『鷹のように帆をあげて』(まはら三桃 講談社)にも、
里親に育てられている友人が登場していた。はず…。


と、ここ最近読んだ本も思い出し、
親は不在であったり、存在感がなかったりして、
親ではない家族や保護者、協力者を得て、
前へと進んでいこうとする子どもたちの姿が、
そんな特別な物語、ではない、といったふうに描かれる時代なんだな。

と思って、ひとりで納得しました。



そして読んだのが『小野寺の弟・小野寺の姉』。

こちらは姉妹ではなくて姉弟の物語です。

昭和レトロな木造一軒家に同居している、40代と30代の独身姉弟。

姉は弟の親代わりと自覚し面倒をみ、世話を焼いてきていて、
そんな姉の幸せを一番に望んでいる弟の、
ほのぼの感たっぷりな物語です。

ときどき、ぷって吹いたりしながら読んだぐらい面白いからいいんですけどね。
でも、
“父と母がいなくなったあの日”のことはわからずじまいでした。

きっとなにかあったような気配なのですが、
そんなこと(そんなこと?)より、
姉弟のコンビ感が絶妙で、
二人一緒に幸せになってほしいなぁ、
と思ってしみじみと読了したのでした。


でもきっと、なにかあっているんですよね。
続編があるとしたら、
いつか語られるのかもしれませんが。

事情はさらに複雑です2012年08月11日

あ、この子もまた両親がいないんだ。

物語の二章で、彼女の事情が明かされ、
私はちょっと緊張しました。


 『僕らのごはんは明日で待ってる』 瀬尾まいこ
                         幻冬舎 2012/4 (写真)


高校から大学、社会人、そして家族となった二人の恋愛小説です。


彼は、中学のとき高校生の兄を病気で亡くしていて、
それ以来、たそがれるばかりの日々を送っています。

そんな彼を、
中学のときから好きだった彼女と、
高校三年の体育祭での「米袋ジャンプ」競技がきっかけで付き合うことになります。


物語の最初は、
彼のたそがれっぷりがいっぱいで、
そんなたそがれ男を、
マイペースな彼女が変えていく恋物語と思っていたら、
彼女には彼女の家族の事情があり、
それが明かされた後は、
それぞれの事情がお互いの人生に影響を与え、
二人の関係を変えていきます。


近づいたり、
離れたり。
そしてもっと近づいたり。


そして彼女は言います。

両親がいなくても、おばあちゃんとおじいちゃんがいるから何も困ることはない。

ほんとうか? と私は思います。


そして彼女は続けて言います。

“「でも、その分自分が親になった時は絵に描いたような幸せな家庭を築きたいって思ってるんだ。ほら、家族を作るチャンスはだいたい二回あるでしょ?自分が子どもの時と、自分が大人になった時。私、二回目のチャンスにかけてるんだ」”


「絵に描いたような幸せな家庭」って?

私の緊張がもうちょっと高くなりました。


そして、そんな幸せな家庭の未来を思い描いて結婚した二人に、
さらなる事情が生じ、
物語のなかにも緊張感が漂うことになっていきました。


そんな展開に私としては、
ほんわか恋愛小説と思って読み出したのに、
このところ気になっている「母のない子と子のない母と」(壺井栄の小説ではありませんが…)問題(というほど深刻に思っているわけではないのですが)までも考えてしまい、
結局、
あれやこれや思うところありのままの読了となってしまいました。


といっても、
物語はほのぼの感に包まれており、
ときどき、
くすくす笑いも起きるような癒し系恋愛小説に仕上がっているのは確かです。



勝手に緊張して、
深読みしたのは「私の事情」によるものと思われます。




それにしても、
物語のなかの「母親」たちは、
存在をなくして、
どこへ片付けられているんでしょうね。



その一方で、
「毒母(毒親)」、
という言葉が、
私の中に留まったままでいます。

そのキャッチーな使われ方が、気になります。

秋と冬のミステリー2012年08月17日

早川書房の「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」シリーズ。

このシリーズを読む人って大人…。
と思っていました。若いころ。
なので、手にして読み始めたときはちょっとドキドキしました。
読んじゃって、いいのかしら?

いいんですけどね。もう充分すぎるほど…。


はじめは、秋のミステリー。

 『黄昏に眠る秋』 ヨハン・テオリン 三角和代/訳 早川書房 2011/4 (写真)

スウェーデンのエーランド島を舞台にした、
春夏秋冬の四部作シリーズの第一作めです。

物語の時代設定は1990年代ですが、
事件が起きたのは20数年も前。
事件をひきずりながら、それぞれに生きてきた家族(父親と娘)が、
あることがきっかけで再び事件と向きあい、関係を深めていきます。

家族と向きあい、
自分と向きあい、
事件の謎を突き止め、
次へ。
明日へと続く今日を生きていくために行動していきます。

と同時に、
事件の当事者の過去(生い立ち)も当時もその後も語られていき、
物語は、
今と過去を頻繁に行き来し、
謎は謎のままに、ますます謎めいていくばかり。

しかも、
謎解きをする父親は、八十歳近い高齢の元船長で、
持病によって、一人で歩くこともままならないときもある、という人物です。

この元船長のおじいちゃん探偵に、
最初はちょっとじらじらしてしまいました。

でも、そのうちいつの間にかこのおじいちゃんのペースに引き込まれてしまい、
その言葉に、
じっくり耳を傾けて読んでいる私となりました。


そして、謎は明らかになり、
思いもよらなかった展開と犯人に、
さすがポケット・ミステリ…、
やっぱり、
私はまだまだ未熟者。。。
と、ちょっとズレたところに感動しての読了となりました。

そして、
すっかりおじいちゃん探偵の虜に…。

いえ、
名探偵・イェルロフ。
元船長の………。 



それから次に読んだのが、冬のミステリー。

 『冬の灯台が語るとき』 ヨハン・テオリン 三角和代/訳 早川書房 2012/2 (写真)

この物語の時代設定も1990年代ですが、
舞台となるエーランド島東海岸にある「双子の灯台」の建設当時(1846年)の出来事から語られていきます。

灯台と、灯台守のために建てられた屋敷。
その屋敷に越してきた家族の悲劇と、
屋敷で起きた過去の出来事が、
こちらもまた、交互に語られていきます。

物語のなかで、
今、を生きる登場者と、
過去、に生きた人がつながり、重なり、
今、を生きる人の人生が、
そのようにして始まり、形作られ、
次の人生へと流れていくのか、と、読み、受け取ることができ、
悲劇(事件)の謎解きより、
そちらの物語にしみじみとしているうちに読了しました。

もちろん、
名探偵・イェルロフ(元船長)おじいちゃんの、
地味ながらも確かな推理が重要な鍵となって、
事件は解決するんですけどね!


シリーズ三作めは春篇・春のミステリーのようです。
いつ、出るのかしら?

待つ楽しみが一冊増えました。

残念な感じ2012年08月21日

出雲大社のお守りをネット検索したら、
東京に出雲大社の分祠があるってわかりました。

出雲大社東京分祠。

場所は、六本木。。。

で、行ってきました。



ビルですけど。 (写真)


向こうに見えるは、
六本木ヒルズ森タワー。



そうであろうとは思っていましたが、
思っていた以上に残念な感じで。

その、
残念な感じ、と同時に既視感を覚え、
そして以前、
ここに来たことがあるやん!…と思い出しました。


その、残念な感じ。
で、思い出したのです。


残念な感じ。
としか言いようのないその感じは、
以前に来たとき以来、ほかでは感じたことのないものだったのでしょう。
その、残念な感じさえもが懐かしく、
ああ、その時もここのベンチに座って、
なんだかなぁ。ありがたいんかなぁ。
ありがたいんやろなぁ。
鉄筋コンクリートのビルやけど…。
と、思っただろうと思われます。



とはいえ、そこには3人の若い女性がお参り中で、
彼女たちの、
真剣すぎる参拝姿に気圧されつつ、
そそくさと(でもしっかり)お参りして、
呼び鈴ボタンを押して、
お守りを買って、
さっさと、
出雲大社東京分祠を後にしたのでした。



そういえば、
今年のお正月は初詣に行かず、
そのまま今日までどこにもお参りしていませんでした。
今年の初詣は伏見稲荷!と、何の根拠もないながら決めていたのですが、
京都すら行っていません。



どこにも行かない日々。




なので、
今日の六本木は、
ちょっと観光な感じでした。

暑くて難儀しましたけど。

高校生のための学級文庫絵本 142012年08月30日

 『しでむし』 舘野 鴻 
           偕成社 2009/4 (写真)

みえない。

のではなく、

みない。


みなかった、すがた、を、みてみる。


世界に命はあふれ、
世界は死に満ちている。

ことを、知る。


どんな小さな命も、
誰かの命をつないでいる。

ことを、みる。



みてみる。


絵本、を、ひらいて、
みてみる。