おば(あ)さんにだって物語2012年12月03日

連作短編集です。

 『オリーヴ・キタリッジの生活』 エリザベス・ストラウト
                小川高義/訳 早川書房 2010/10 (写真)

13の短編をつなぐのは、
オリーヴ・キタリッジ。

中年の働く主婦(数学教師)であったころから、
74歳の未亡人となった、
オリーヴ・キタリッジ。

彼女が、
主人公になったりならなかったり。
して、
物語は綴られていきます。

物語。

といっても、
淡々とした日々。

そんな日々が積み重なった人生において、
いくつかの大きな事件や、
いくつものささやかな出来事が、
おば(あ)さんのなかの、
「女」をきらめかせ、
苛立たせ、哀しませ、
動揺したり後悔したり、
望んだり。
して、
生きていく姿が、
いとおしく感じられます。


我慢し折り合いをつけ、
求めたいものを、求め、
て、生きる。

それが、
オリーヴ・キタリッジ。

であり、
私。 

でもありたい。

と思って読了しました。


やれやれな日々は続くのです。

ありがたいこと。

と、思います。

衒学的2012年12月15日

翻訳小説のようでもあります。


 『カンパニュラの銀翼』 中里友香  
                   早川書房 2012/10 (写真)


「第2回アガサ・クリスティー賞 受賞作」と帯にあります。

アガサ・クリスティー賞があるとは知りませんでした。


アガサ・クリスティーはあんまり読んでないです。

10代前半にコナン・ドイルを読み、
江戸川乱歩にちょっと夢中になり、
それからアガサ・クリスティーに行くのが順当っぽいんですけど、
そこ飛ばして、
エラリー・クイーンに行き、
ルース・レンデル(バーバラ・ヴァイン)にいったんですよね。


とはいえ、アガサ・クリスティーですから。

その賞を受賞と聞けば、
どっしりミステリーと思うのですが、
それだけではありませんでした。

読みながら、
『ポーの一族』(萩尾望都)を感じました。

そして“老いない人間”の物語を読むの、これで3冊めです。

しかも立て続け。

もちろんまったくの偶然で。

 
 『ゼラニウムの庭』 大島真寿美 ポプラ社 2012/9
 『ふれられるよ今は、君のことを』 橋本紡 文藝春秋 2012/11


“老いない”“死なない”人間を描く物語。
永遠、と感じられるほどの長い時を生きる人間の物語。

えっ、また?

と最初はそこに驚いたのですが、
この物語は、
そこをミステリとして、その謎を解く、
というより、
それを「難問」として、それを解くことに、
それまで散らかされた哲学や心理学や神学や、
アナグラムや回文などが織りあがっていく物語、
に、仕立てられていました。


衒学的。


たっぷりと。

三昧。か?2012年12月25日

今日はもうクリスマスです。

クリスマスが終わると、
年末年始が押し寄せてきて、
今年はあとまだ6日あるのに、
もう2・3日で終わってしまうような気分になります。

特別なことはしないのに、
勝手に気忙しくしている日々。


そんななか、
もうすっかりひとりの暮らしにも慣れてきて、
お気楽きままな生活をしているようにみえて、
実は、
ひとりになったらああしようこうしようと妄想半分で計画していたことのうち、
できていることってほとんどありません。


なかでも、一番に考えていたのは読書三昧。

食事の仕度をはじめとする家事を放り投げて、
本を読みたいだけ読んでやる~!ともくろんでいたのに、
これまで通りにその時間になるとお腹がすくし、
お店で買ってきたものやインスタントの食事は、
2日と続けられなくて、
結局、これまでとそんな変わらず、
その時間になれば台所に立って、
それなりに料理を作って食べて片付けているしまつ。


夜遅くまで本を読むのもしんどいし。


だから、
思いのほかきちんとした生活。で…。

というか、
もうそんな気ままな生活を楽しめる年齢じゃないってことかな。
と思ったりもします。


それでも、
本を読むペースは速くなったような気がします。

というより、
一冊の本をゆっくり味わうことが少なくなったのかもしれません。

次々と読みたい本が待っている(図書館に)ということもあるけど、
本を読む。のではなくて、
情報を消費している。みたいな感じもあります。

それは私の都合でもあるのかもしれないけど、
本の作りや内容もまた、
そのようなものが多いような気がしています。

とくに、新刊本はね。
それが物語(小説)しかも児童書だったりするともう、
最後まで読まない。読めない。

以前は、
なんでこうなんかなぁ~って立ち止まってたけれど、
この頃はそれもしなくなってしまいました。

次! って流しておしまい。



考えてもどうしようもないと思っているからですね。



結局、もう、期待していないってことなんでしょうね。



ああ、いやだいやだ。



でも、本読みはやめられません。
し、
やめませんよ。



写真は12月初めの図書館。

図書館そのものが物語の中に佇んでいるような景色で、
中に入らず、
しばしみとれていました。


今年は東京にもちゃんとした秋があったように思いました。
青梅街道のイチョウの黄葉も美しくて、
よく立ち止まっては眺めていました。


幸せなひと時で。
ありがたいことでございます。

高校生のための学級文庫絵本 182012年12月28日

 『日本の風景 松 』 ゆのきようこ/文 阿部伸二/絵
               理論社 2006/10 (写真)

見慣れていて、
見慣れすぎていて、
見ていても気づかなかった。

あたりまえの風景。

の中に、佇んでいる。


松。


松、を知ってみる。


知れば見えてくる。

あたりまえだったものが、
そこにあることに気づき、
ちょっと特別になる。

そして、
豊かになる。

愛おしくなる。

好きになる?

日本の木。
日本の風景。

今年もありがとうございました!2012年12月31日

今年が、
あたふたと過ぎていきます。

今年も、
ちっとも落ち着きませんでした。

ふらふらして。

…たのは貧血だったとわかり、
しばらく鉄剤を服用したりもありました。


見送ったり、
遠くにいて心配するしかなかったり、
安堵したり、

怒ったり。

怒っている。
ということを表明したり。

伝えたり。

も、しました。


今年止めたのは新聞購読。
今年始めたのはツイッター。

新聞届かなくても、
不便もストレスも感じなかったのにはびっくり!

ツイッターは、
はっきりいって使いこなせていません。
ていうか、その気がありません! エッヘン!

とりあえず1日ひとつぶやきを務めとして、
今日も生きていることを主張している毎日。


生きている。
生きている。


ありがたいことでございます。



さて、写真はカナダ・バンクーバーから届いたもの。


私は今年、
どこへも遠出しませんでした。

来年はどこかへ行くのかなぁ。


で、
あなたはどちらへ?



今年もまた、
こんな気まぐれ辺境のブログにお付き合いいただき、
ほんとうにありがとうございました。

どうぞよいお年をお迎えください。


2013年にまたお会いできれば嬉しいです。


<(_ _)>