愛に満ちたコワイ手紙 ― 2011年01月25日

絵本作家の田中清代さんからお薦めいただいた本です。
『伝説の編集者 ノードストロムの手紙
アメリカ児童書の舞台裏』
レナード・S・マーカス 編
児島なおみ 訳 偕成社 2010/12(写真)
りとるに仕入れてもらったので発売されてすぐに手にとって見れたのですが、
まずはじっくり読んでからと思って図書館にリクエスト。
その後、翻訳者の児島なおみさんにお会いする機会があり、この本のお話しも聞くことができました。
りとるで手にしたとき、
ぱらぱらと開いて見ただけなのに、
この本に注がれている熱意や情熱が伝わる、
というか、
それらが、ページの合間合間からあふれ出てくるようで、
これはすごい本かも!と感じていました。
このたびやっと図書館に本が入り、
おそらく借り手第一号となって本日読了しました。
確かにすごい本でした。
そして、
すごい編集者のすごい仕事ぶりを拝読させていただきました!
お腹いっぱいです。
ノードストロムは、1940年から1973年まで、アメリカのハーパー社の児童書部門を統括した編集者です。
「伝説の編集者」の理由もよくわかります。
あたりまえのように読んで楽しんできた、
絵本や児童書(例えばローラ・インガルス・ワイルダー、マーガレット・ワイズ・ブラウン、モーリス・センダック、E.B.ホワイトなど)の数々が、
このような手紙のやりとりの中で生まれていたのかと知ると、
そのような本が出版されたことそのものが、
まるで奇跡のように思えてきます。
編集者であるノードストロムにとっては、
確信的必然的出来事(出版)であったのかもしれませんけれど。
ノードストロムが「天才」と呼び愛した作家・画家たちとって、
ノードストロムの「愛」はどのようなものだったのでしょうか。
そして受け取ってきたたくさんの「手紙」は?
愛にあふれた賞賛、と、次の作品(原稿)への期待、と、催促。
それらを伝えるウィットに富んだ言葉は、
相手との関係の距離の近さを感じさせてくれます。
近いばかりではなく、時には、相手の警戒心を解くために引いたり、
でも直後にぐぐぐぐっと押し入るほどに近寄ったり。
その絶妙な距離の取り方、バランスの良さ、は、
業種・職種を超えて、
働く人(女性)の参考になることがたくさんあるように思いました。
コワイ、です。よ。
この本の「前書き」にこうあります。
“彼女と仕事をした人は皆、欄外に、「N.G.E.F.Y.」(あなたにしてはよくない)と書かれたことを覚えている。”
(訳注:Not Good Enough For You の頭文字)
この感じ、よくわかります。
同じ作家さんの作品を追いかけていると、
私もそう感じる作品に出会うことがありますから。
それを原稿の段階で作家さん本人に伝え、
作家さんを尊重しながらも修正を促すために伝えられる言葉は、
もう、ほんとうに見事です。
見事すぎて、コワイ。です。
いや、
すごい、です。。。
それから、
ノードストロムが「天才」と呼び愛した作家たちの、
それでも出版に至らなかった多くの原稿と、
彼女ら編集者の目に留まらなかった、
無数の、無名の、作家志望者と、その原稿たちの存在も、また、
ノードストロムの手紙と、その注(訳注)からうかがい知ることができます。
当時の、
児童書を取り巻く状況はもちろん、
政治や社会情勢も。
一人の女性編集者の手紙から、
ほんとうにたくさんのことを知り、学ぶことができます。
読み手の興味・関心のあれやこれやが試される本でもあると思います。
そういう意味でも、コワイ、本です。
そしてこの本が、日本で出版されたことのすごさを感じます。
児童書に関わっている多くの人に、
この本を手にして読んでもらいたいです。
「不機嫌図書室」の棚にも常備したいものです…。
が、
なにしろ「空想(あるいは妄想)書房」なので、
とりあえず、手元の本は図書館に返し、
私のアタマの書棚のリストに入れておきます…(~_~;)
『伝説の編集者 ノードストロムの手紙
アメリカ児童書の舞台裏』
レナード・S・マーカス 編
児島なおみ 訳 偕成社 2010/12(写真)
りとるに仕入れてもらったので発売されてすぐに手にとって見れたのですが、
まずはじっくり読んでからと思って図書館にリクエスト。
その後、翻訳者の児島なおみさんにお会いする機会があり、この本のお話しも聞くことができました。
りとるで手にしたとき、
ぱらぱらと開いて見ただけなのに、
この本に注がれている熱意や情熱が伝わる、
というか、
それらが、ページの合間合間からあふれ出てくるようで、
これはすごい本かも!と感じていました。
このたびやっと図書館に本が入り、
おそらく借り手第一号となって本日読了しました。
確かにすごい本でした。
そして、
すごい編集者のすごい仕事ぶりを拝読させていただきました!
お腹いっぱいです。
ノードストロムは、1940年から1973年まで、アメリカのハーパー社の児童書部門を統括した編集者です。
「伝説の編集者」の理由もよくわかります。
あたりまえのように読んで楽しんできた、
絵本や児童書(例えばローラ・インガルス・ワイルダー、マーガレット・ワイズ・ブラウン、モーリス・センダック、E.B.ホワイトなど)の数々が、
このような手紙のやりとりの中で生まれていたのかと知ると、
そのような本が出版されたことそのものが、
まるで奇跡のように思えてきます。
編集者であるノードストロムにとっては、
確信的必然的出来事(出版)であったのかもしれませんけれど。
ノードストロムが「天才」と呼び愛した作家・画家たちとって、
ノードストロムの「愛」はどのようなものだったのでしょうか。
そして受け取ってきたたくさんの「手紙」は?
愛にあふれた賞賛、と、次の作品(原稿)への期待、と、催促。
それらを伝えるウィットに富んだ言葉は、
相手との関係の距離の近さを感じさせてくれます。
近いばかりではなく、時には、相手の警戒心を解くために引いたり、
でも直後にぐぐぐぐっと押し入るほどに近寄ったり。
その絶妙な距離の取り方、バランスの良さ、は、
業種・職種を超えて、
働く人(女性)の参考になることがたくさんあるように思いました。
コワイ、です。よ。
この本の「前書き」にこうあります。
“彼女と仕事をした人は皆、欄外に、「N.G.E.F.Y.」(あなたにしてはよくない)と書かれたことを覚えている。”
(訳注:Not Good Enough For You の頭文字)
この感じ、よくわかります。
同じ作家さんの作品を追いかけていると、
私もそう感じる作品に出会うことがありますから。
それを原稿の段階で作家さん本人に伝え、
作家さんを尊重しながらも修正を促すために伝えられる言葉は、
もう、ほんとうに見事です。
見事すぎて、コワイ。です。
いや、
すごい、です。。。
それから、
ノードストロムが「天才」と呼び愛した作家たちの、
それでも出版に至らなかった多くの原稿と、
彼女ら編集者の目に留まらなかった、
無数の、無名の、作家志望者と、その原稿たちの存在も、また、
ノードストロムの手紙と、その注(訳注)からうかがい知ることができます。
当時の、
児童書を取り巻く状況はもちろん、
政治や社会情勢も。
一人の女性編集者の手紙から、
ほんとうにたくさんのことを知り、学ぶことができます。
読み手の興味・関心のあれやこれやが試される本でもあると思います。
そういう意味でも、コワイ、本です。
そしてこの本が、日本で出版されたことのすごさを感じます。
児童書に関わっている多くの人に、
この本を手にして読んでもらいたいです。
「不機嫌図書室」の棚にも常備したいものです…。
が、
なにしろ「空想(あるいは妄想)書房」なので、
とりあえず、手元の本は図書館に返し、
私のアタマの書棚のリストに入れておきます…(~_~;)
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