秋の陽はつるべ落とし2011年10月05日

昨日から始まりました。

 「賢治童話における電気についての考察」 (写真)
  画本 宮澤賢治 原画展 vol.2   画・小林敏也

space cafe ポレポレ座 ~16日

幻燈+朗読会もあります。



私は昨日はりとるの店番をしていました。

最近は、
店番、というより、電話番、といった状況が続いています。
震災以降は、特にそんな感じ。

でも、昨日はお客さまが続きました。
そしてなぜだかプレセント包装も。

久々のプレセント包装だと、
いつもなら緊張するのですが、
昨日は嬉しくなって楽しみながら包装しました。


贈り物に絵本はいいですよ!
みなさん、もっと贈って贈って~~!!


なかでも印象に残ったのは、
お正月に会うお孫さんのために絵本を選ばれたご婦人でした。

お正月用に?もう?
と、最初はびっくりしたのですが、
年内に都内を離れた所に引っ越すとのこと。
これからは引っ越しの準備で忙しくなるし、
引っ越すと、りとるが遠くなっちゃうの。
今日は近くまで来る用があったし、
思いついたときに用意しておきたくて。
と、絵本を選び選び、お話ししてくださいました。

自分の子どもが小さかったときは、家庭文庫をやってたの。
えっ?ああ、もうずいぶん前にやめたんですよ。
子どもの数も減りましたでしょ。
当時は絵本をたくさん買いましたけどねぇ。
でも、この絵本は知らないわ。
あら、30年前に出てるのね。
なんで知らなかったのかしら。
この作家さん、好きなのに。

絵本を選び選び、お話しは続きます。

じゃあ、これとこれ。

2冊決まったので包装しようとすると、

ちょっと待って、
どの子にどの絵本を渡すか考えるわね。

そしてレジの前でしばし沈黙。

絵本選びの楽しい時間を邪魔しては申し訳ないので、
私も黙ったままお待ちしました。

じゃあね、こっちは上の孫に、こっちは下の子に。

それから包装紙の了解を得て、
プレセント包装をしました。

りとるのシールとリボンの色をそれぞれコーディネートして終了です。

お待たせしました。

作業中も、ゆったりと書棚を眺めていらしたご婦人。
懐かしい絵本ばかりねぇ。
今日は来れてよかったわ。
絵本を受け取りながらもお話しは続きます。

そして店を出る直前、
ドアを開けながら振り返り、

ここはもうどれくらいやっているの?
と。
今年の夏で21年になりました。
あらそう。
そうなの。
私、主人を失くして20年になるの。
そうなの。同じね。あっという間でしたね。

そうしてご婦人は、
もうすっかり暗くなった秋の空の下を帰って行かれました。

引っ越す先は、新築の戸建てと聞いていました。
都内の家を引き払って、
お子さんの家族と同居するとのこと。
新年は、他の子の家族もやって来て、
新居のお披露目をするのだとか。

そうか、これまでは一人暮らしだったんやなって、
後姿を見送りながら思いました。


初めてお会いしたお客さまでした。
でももう、お会いすることはないのかもしれません。


日暮れの早い秋の日、
りとるにはゆったりとした時間が流れていました。

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