ニーチェって、そんないいんですね…2011年10月02日

図書館から、リクエスト予約した本が借りれますお知らせが届いたとき、
これって、なんの興味で予約したんだっけ?と思う本がままあります。

この本もそうでした。

 『切り取れ、あの祈る手を  〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話』                 佐々木 中   河出書房新社  2010/10 (写真)


著者の前作 『夜戦と永遠──フーコー・ラカン・ルジャンドル』(河出文庫)は、ちっとも興味がわきません。
フーコーもラカンもお名前だけは見聞きしていますが、それだけ。
ルジャンドルにいたっては、どちらのどなたさま?ですし。

それでもこの本を読む気が起きたのは、
副題の「〈本〉と〈革命〉」という言葉に反応したためと思われます。

しかも図書館の蔵書検索をすると、
予約数が多く、
これはまだ当分読まなくてすむな…という状況であったので、
気楽に予約してたのでしょう。

で、実際に手にとってみて思ったのは、
本の作りの美しさ、でした。

美しい本を手にする読書は至福です。

そういうのもあって途中放棄せず読了できました。

内容はといえば、
面白く読めたところと、
ちっともわからないところがマダラ状態。

読めた。というより聞いた。でしょうか。

五夜にわたって語られたお話で、話し言葉。
どうやらインタビューされた発言がテキストになっているようです。

熱い語り口で。
著者のビジュアルはまったくわかりませんが、
身振り手振りを交えて語る気配も感じられました。

「読むこと」「書くこと」とはどういうことか。

読むってそういうこと?という驚きが、
そうね、そうかもしれない。そうなんや!。。。と思えたり。
でも、そうなの?
う~ん。ようわからんなぁ!

という体験こそが、読書の醍醐味。
読むことの面白さと感じることができました。



あっ、聞く。でしたね。。。。
話されていることを、文字で読んだのでした。


そして著者はニーチェが好きなようです。

ニーチェ。

最近あちらこちらでその名前や本や引用文を目にします。

でも私は興味がわかず、
『ツァラトゥストラはかく語りき』といえば交響詩が先に浮かぶし。

この本の最初(第一夜)にも最後(第五夜)にも、ニーチェの引用があります。

ニーチェって、そんな………?

秋の陽はつるべ落とし2011年10月05日

昨日から始まりました。

 「賢治童話における電気についての考察」 (写真)
  画本 宮澤賢治 原画展 vol.2   画・小林敏也

space cafe ポレポレ座 ~16日

幻燈+朗読会もあります。



私は昨日はりとるの店番をしていました。

最近は、
店番、というより、電話番、といった状況が続いています。
震災以降は、特にそんな感じ。

でも、昨日はお客さまが続きました。
そしてなぜだかプレセント包装も。

久々のプレセント包装だと、
いつもなら緊張するのですが、
昨日は嬉しくなって楽しみながら包装しました。


贈り物に絵本はいいですよ!
みなさん、もっと贈って贈って~~!!


なかでも印象に残ったのは、
お正月に会うお孫さんのために絵本を選ばれたご婦人でした。

お正月用に?もう?
と、最初はびっくりしたのですが、
年内に都内を離れた所に引っ越すとのこと。
これからは引っ越しの準備で忙しくなるし、
引っ越すと、りとるが遠くなっちゃうの。
今日は近くまで来る用があったし、
思いついたときに用意しておきたくて。
と、絵本を選び選び、お話ししてくださいました。

自分の子どもが小さかったときは、家庭文庫をやってたの。
えっ?ああ、もうずいぶん前にやめたんですよ。
子どもの数も減りましたでしょ。
当時は絵本をたくさん買いましたけどねぇ。
でも、この絵本は知らないわ。
あら、30年前に出てるのね。
なんで知らなかったのかしら。
この作家さん、好きなのに。

絵本を選び選び、お話しは続きます。

じゃあ、これとこれ。

2冊決まったので包装しようとすると、

ちょっと待って、
どの子にどの絵本を渡すか考えるわね。

そしてレジの前でしばし沈黙。

絵本選びの楽しい時間を邪魔しては申し訳ないので、
私も黙ったままお待ちしました。

じゃあね、こっちは上の孫に、こっちは下の子に。

それから包装紙の了解を得て、
プレセント包装をしました。

りとるのシールとリボンの色をそれぞれコーディネートして終了です。

お待たせしました。

作業中も、ゆったりと書棚を眺めていらしたご婦人。
懐かしい絵本ばかりねぇ。
今日は来れてよかったわ。
絵本を受け取りながらもお話しは続きます。

そして店を出る直前、
ドアを開けながら振り返り、

ここはもうどれくらいやっているの?
と。
今年の夏で21年になりました。
あらそう。
そうなの。
私、主人を失くして20年になるの。
そうなの。同じね。あっという間でしたね。

そうしてご婦人は、
もうすっかり暗くなった秋の空の下を帰って行かれました。

引っ越す先は、新築の戸建てと聞いていました。
都内の家を引き払って、
お子さんの家族と同居するとのこと。
新年は、他の子の家族もやって来て、
新居のお披露目をするのだとか。

そうか、これまでは一人暮らしだったんやなって、
後姿を見送りながら思いました。


初めてお会いしたお客さまでした。
でももう、お会いすることはないのかもしれません。


日暮れの早い秋の日、
りとるにはゆったりとした時間が流れていました。

土星(=作者)と戦う。という物語。2011年10月07日

この本も、美しい本です。

 『紙の民』 サルバドール・プラセンシア
          藤井光/訳 白水社 2011/7 (写真)

文章のレイアウトも含めて、
ブックデザインが凝っていて、
原書はどんな感じやろ…と思いながら読みました。

“上空から見下ろす作者=《土星》の存在に気づき、
 自由意志を求めて立ち上がった登場人物たち。
 ページの上で繰り広げられる奇想天外な
 「対土星戦争」の行方は?

 メキシコ出身の鬼才による
 鮮烈な処女小説!” (帯のことば)

この紹介文を頼りに読み始めたときは、
どんな激しい戦い(戦争)が、
ドンパチドンパチ起きるのかと思っていたのですが、
そうではありませんでした。

登場者たちの細やかな感情の揺れが、
ちょっとした言葉や動作や景色の描写で表わされていて、
次々と登場する人たちの、
短い、
ほんの断片でしかない描写から、
その人の人生や感情があふれ出ているように思われ、
受けとめたりすくいとったりして読んでいきました。

黒塗りされ、
覆い隠された「言葉」(思考)もまた、
語られる物語をさらに豊かにするものとして読みました。

確かに奇想天外な物語ではあるけれど、
それだけを狙った物語ではなく、
いつかどこかで読んだ物語であったり、
私もまたそのように感じたことがある出来事であったりが、
登場者を変え、
視点を変え、
して語られていきます。


そこにはたっぷりの物語がたゆたゆとしていました。



「物語」って、
想像できるもの。

なのかも。


小説は作者(=土星)のもの(作品)ですが、
他者(読者)が読むことで、
読者個人の想像を加えて、
読者(私)のもの(物語)にしてしまいますから。



私は私のものにしてしまえる物語が好き。

なんだな。おそらく。

カメ係、器ヲ作ル2011年10月15日

 「平成二十三年度 
   早稲田大学陶芸部稲穂窯 定期展覧会
       やさしい茶道具展」 

 10月20日(木)~23日(日)
 高田馬場 スペースg 


このところ何やら忙しくしていると思ったら、
陶芸部で器を作っていました。

写真は?

と聞くと、
「撮ってる」と言って、
陶芸部の様子を撮った写真を見せてくれました。

このDMの写真もカメ係。


学生さんの作品に、
ご興味とお時間がございましたら、高田馬場へぜひ!

私も見に行こうと思っています。

高校生のための学級文庫絵本 42011年10月26日

 『うそつきのつき』
    内田麟太郎/作 荒井良二/絵  文溪堂 1996/4 (写真)


お二人とも、
今も大人気の絵本作家さん。

でも、
ちょっと前の絵本を選びました。



わたしも…… うそつき