リアル@ファンタジー2014年10月25日

もう読みましたか?

 『鹿の王 上 生き残った者』
 『鹿の王 下 還って行く者』
     上橋菜穂子 角川書店 2014/9 (写真)


謎の病を生き延びた男(戦士)と、
その病の謎を追う男(医術師)。


二人の主人公、
二つの視点、
で、描かれる二つの物語、
が、交互に現れ、
そのたび、
物語を追う私も行きつ戻りつせねばならず、
それにくわえ、
私のリアルな生活もあり、
で、
この物語、
ファンタジー世界に、
どっぷり入り込んで楽しむ、
という本読みにはなりませんでした。


それは、
この物語が、
病(伝染病)、医療、民族、テロ、といった、
現実と重なる出来事や、
宗教観・死生観をも描いていることもあって、
ファンタジー世界で語られることを受け取って、
リアルな生活の中で見聞きするニュースについて考えたりしたせいでもあると思われます。


なのでところどころ、
物語ではなくて、
報告書というか、
説明書、教科書、
あるいは意見書、のようなものを読んでいる気分にもなりました。




それでも、
それ以上に登場者たちが魅力的なので、
彼らの物語を見届けたい思いが強くあって、
その読みはどんどん加速していきました。



好きになった人物が登場するとわくわくし、
その言動にどきどきするという、
物語読みの醍醐味もちゃあんとありました。




でも、ちょっと不足気味。。。


えええ?もう場面変わっちゃうの?
もっと描いてよぉ…。

そんなことを思うのってめずらしいんだけど、
ちょいちょい思ってましたね。



結末も、
その続きがありそうな気配やし、
スピンオフででも、
彼女たち(そう、特に女性たちが魅力的!)中心の物語を読みたいと思うし、期待したいです。




最後に
「あとがき ― 人の身体の内と外」
を読んでいろいろ納得しました。


この本、地衣類好きな人にススメたいな…。
と思ったのも間違いじゃなかったです。

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