見知らぬ人に冷たくするな 変装した天使かもしれないから2010年06月29日

本が好きな人や、
書店が好きな人、
パリが好きな人、
パリへ行ったことがある人、

は、

とうのむかし、から、ご存知なんでしょうね。

パリの伝説的書店 シェイクスピア・アンド・カンパニー

本は好き、書店も好き、
でも、
パリは好きかな?行ったことないし。
な、私は、このたび初めて知りました。

パリの伝説的書店 シェイクスピア・アンド・カンパニー
が、どういう書店であり、
かつ、
どれだけ有名なパリの観光スポットであるかということを。


  『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』 (写真)
    ジェレミー・マーサー  市川恵里/訳 河出書房新社 2010/05

読みながら思いました、
スタイルや規模はぜんぜん違うけど、
こういう店主のいるお店、知ってる…(書店に限らず)。

ガイドブックを見て訪れるだけの観光客と、
その店(店主)の存在を生活(ココロ)の支えとし、
店(店主)との関係性を競う常連客、
が入り混じる店。

そんな店に私も通ったことがあります。
でも、それらの店には、どんな常連客であっても、
それぞれが自分の家やら部屋から通って来るものなのですが、
このシェイクスピア・アンド・カンパニー書店ではそこが違います。

ここでは、店内で宿泊、生活をしています。
望めば店主がそれを受け入れてくれるのです。

“この店はただの本屋ではなかった。書棚のあいだに狭苦しいベッドが点在し、ほかに行くところのない貧しい物書きや旅の若者が無料で泊まれる「流れ者ホテル」も兼ねていたのである”(「訳者あとがき」)

「見知らぬ人に冷たくするな 変装した天使かもしれないから」
が、店主のモットー。

その書店にたどり着き、数ヶ月滞在した著者が、当時のことを記したのがこの本です。

まるで小説のようですが、実はノンフィクション。

その赤裸々な記述が、
だれもが経験する(であろう)青春の甘くて苦い日々を思い起こさせ、
ほんとうは類稀な他人(著者)の思い出なのに、
まるで自分のことのように思えて、一気読みをさせてくれました。

店主の個性的すぎる個性も、
著者の冷静で客観的な人物描写が、
その人となりをわかりやすく伝えてくれます。


本好きでなくても、
書店好きでなくても、
パリが好きでなくても、
パリに行ったことがなくても、
面白く読めると思います。

ただ、
それでパリに行って、
シェイクスピア・アンド・カンパニー書店を覗いてみたくなったかというと、
そうでもなくて。

私の場合は、
「空想書房 不機嫌図書室」の妄想が膨らみました。

事実(シェイクスピア・アンド・カンパニー書店)は妄想より奇なり。

私の妄想など、まだまだやわ~。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック